「つかう責任」を果たすカギは整備にあり。排気ガス抑制のためにできること

SDGs(持続可能な開発目標)における12番目の目標に、「つくる責任 つかう責任」があります。ポイントは、生産活動に責任を持つのはもちろんのこと、それを消費する過程においても責任が問われることです。今回のコラムでは、環境規制や自動車の整備という観点から、「つくる責任」「つかう責任」を果たすための取り組みをご紹介します。

世界的に進む環境規制と日本の動向

持続可能な社会の実現が急がれる中、自動車業界では排出ガスを削減することで、地球環境への影響を低減する取り組みが盛んに行われています。そして、同じ方向性で環境問題に取り組むため、多くの国では環境規制が設けられています。ここでは、日本を含む世界各国の具体的な環境規制について解説していきます。

社会的な要請とメーカーの苦悩

ガソリン車は、走行時にガソリンを燃焼させて動力を得ます。その際に温室効果ガスが排出されるのは、周知の事実でしょう。そしてその温室効果ガスこそが、地球温暖化や光化学スモッグ発生の原因となっていることも、広く知られています。

そうした観点から、持続可能な社会の実現と温室効果ガスの排出量削減は、切っても切れない関係にあるといえます。ただ、排出ガスを削減しながら求められる性能の自動車を製造するのは難しいことです。そのため、各国の自動車メーカーは、エンジンの開発や車体の空力最適化など、これまでに培った技術を用いて排出ガスの削減や燃費向上に取り組んでいます。近年では、欧州を中心に電気自動車の開発が盛んになっており、動力源をガソリンから電気に切り換えることで走行時の排出ガスをなくすという流れもあります。

各国の環境規制と達成期限

自動車メーカーは、漠然と「持続可能な社会の実現」を目指しているわけではありません。基本的には各国で定められた環境規制に従い、それに抵触しない範囲で自動車の開発を行っています。自動車の製造や利用に関連する主要な環境規制には、以下のようなものがあります。

パリ協定

2017年にフランスのパリで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で採択に至った、2020年以降の気候変動に関する国際的な枠組みです。パリ協定では、長期的に「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して、2℃より低く抑え、さらに1.5℃に抑えられるように努める」ことと、そのために「早急に世界の温室効果ガス排出量をピークアウトする」ことが定められました。こうした努力は先進国のみならず、途上国を含む全ての参加国に求められているため、気候変動に歯止めをかける効果が期待されています。

CAFE(企業別平均燃費基準)

Corporate Average Fuel Efficiencyの略称であるCAFEは、自動車メーカーごとに販売している自動車の平均燃費を算出し、一定の規制をかけるものです。仮にひとつの車種で基準となる燃費を達成できなかったとしても、メーカー全体の燃費平均で基準達成ができれば良いため、各メーカーが得意な分野で燃費向上の取り組みを行うことができます。
CAFEはEUやアメリカで既に採用されていますが、日本でも2019年に「2030年以降、企業別平均燃費を25.4km/L」とする規制案が発表されたのが話題になりました。

ZEV規制

ZEV(Zero Emission Vehicle)とは、電気自動車や燃料電池車などの温室効果ガスを全く出さない自動車のことで、ZEV規制ではそうした自動車の販売割合を一定以上にしなければならないと定めています。適用対象となるのは、米国カリフォルニア州で新たに販売される自動車です。電気自動車や燃料電池車のみで達成が難しい場合は、ハイブリッド車や天然ガス車などを割合に組み入れることも容認されています。

こうした規制が設けられることで、温室効果ガスの排出を抑えた自動車の開発が活発になっています。今後も各社足並みを揃えつつ、得意分野での環境性能向上に取り組むべきだといえるでしょう。

自動車整備と環境への配慮

さて、ここからは整備と環境に関する内容をご紹介します。自動車業界における取り組みについて考える際、注目が集まりやすいのは自動車を「つくる」部分になりますが、同様に自動車を「つかう」部分での取り組みも重要になります。特に整備工場でできる取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。

整備も温室効果ガスの削減に重要な役割を果たす

自動車の製造だけでなく、整備も温室効果ガスの排出に多大な影響を及ぼします。同じ車種であっても、適切な整備を施しているかそうでないかで、温室効果ガスの排出量は大きく変わります。また、燃費を決め手に購入した車体も、整備をしないまま走り続けると次第に燃費が悪化してしまいます。整備は壊れた部分の修理を行うためだけのものではなく、自動車をベストな状態に保つために必要な維持管理のひとつなのです。

エコ整備という考え方

近年、環境意識の高まりに呼応するように「エコ整備」という考え方が浸透してきています。自動車が走行距離を重ねることで起こりやすくなるのが、不完全燃焼や出力の低下です。そして、そうした性能の悪化をカバーしようとアクセルを多く踏み込むような走りをすると、これまでよりも多くの温室効果ガスが排出されてしまうことになります。

このような劣化による環境への影響を防ぐための整備は「エコ整備」と呼ばれており、具体的にはエンジン内部の燃焼室洗浄や出力の再調整を行います。定期的にエコ整備を行うことで、走行時の温室効果ガス排出を低減することが可能です。そして近年では、車検整備とエコ整備を兼ねた「エコ車検」を行っている整備工場もあり、環境への配慮や性能の維持に対する意識が高まっていることがうかがえます。

リサイクルパーツの活用

最近では自動車の整備に新品のパーツではなく、使われなくなった自動車のパーツをリサイクルして活用する動きもみられています。パーツをリサイクルすることで、パーツ製造時に排出される温室効果ガスを削減することができる上に、限られた資源を有効活用することができます。エコアールでも、使われなくなった自動車のパーツを取り出して整備し、販売する事業を展開中です。エコアールでは明確な基準にしたがって検品を行っているため、品質面では遜色なくパーツをご使用いただけます。パーツは使い捨てではなく、リユースやリサイクルするものだという認識がさらに浸透すれば、環境への負荷を減らすことにもつながるでしょう。

整備を見直して「つかう責任」を果たす

持続可能な社会をつくるためには、「つくる責任」だけでなく「つかう責任」にも目を向け、具体的なアクションを起こしていくことが必要不可欠です。自動車整備の部分だけでもできることはたくさんあります。他人事だと思わず、足並みを揃えて持続可能な社会の実現を目指しましょう。他のコラムでも、SDGsや自動車に関するトピックを多数取り扱っていますので、ぜひ読んでみてください。

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