
SDGs達成のための課題のひとつ、''CO2排出量の削減''に向けた取り組みが求められている今、物流業界が取り組んでいるのが、グリーン物流です。グリーン物流は環境問題はもちろん、トラックドライバーの労働環境も改善できるなど、多くの効果があります。今回は、そんなグリーン物流についてご紹介します。
グリーン物流とは
グリーン物流とは、物流システムの改善により物流段階における二酸化炭素排出量を削減する取り組みの総称です。別の言い方をすると「輸送時におけるCO2排出量の削減などの''地球に優しい物流''の取り組み」とも言えます。
グリーン物流への取り組みは、民間企業によるパートナーシップの設立、グリーン経営認証制度(国土交通省)、グリーン物流パートナーシップ推進事業(グリーン物流パートナーシップ会議)など、様々な形で実施されています。
グリーン物流の取組事例
2004年より、産業界と物流業界が共同でさまざまなCO2排出量削減計画を打ち出してきました。そのひとつが、グリーン物流パートナーシップの運営です。CO2排出量削減には、荷主・物流会社などの企業がそれぞれ策を講じるのではなく、業界の垣根を超えた連携により取り組みを拡大するための取り組みです。以下、荷主と物流会社が連携して取り組んできた事例をいくつか紹介します。
モーダルシフト(輸送手段の転換)

モーダルシフトとは、輸送手段を小規模なものから大規模なものへと変更することです。東京と大阪など、拠点間の輸送において有効で、我が国では、トラックから鉄道および船舶へ変更することが多いです。貨物輸送においては、鉄道や船舶など、輸送機関が大規模になるほど、二酸化炭素排出量が少ないです。
輸送拠点の集約

輸送拠点の集約とは、各地に分散している拠点および配送網を集約・再編成することで、輸送に掛かる時間・コスト・環境負荷を削減する取り組みです。例えば、生産工場からの効率的な輸送作業を行うことで、各拠点へのスムーズな在庫補充を実現できます。また、輸送効率が向上すると輸送コストが削減されます。また、拠点数が少なくなった事で、在庫圧縮が可能となり、拠点スペース及び拠点人員のコストも低減されます。更に、物流管理に関わる事務作業量も減少します。
共同輸配送

共同輸配送とは各企業が別個に行っている流通業務を共同化して、車両の走行台数や走行距離を減らすことです。例えば、関東と中部を結ぶ物流フローを同業他社と統合化し、中継点である御殿場から関東と中部への配送をそれぞれの会社が分担することにより、トラックの台数を削減し、燃料使用量も削減できます。
車両等の大型化

輸送用車両を大型化することで、一度に運搬可能な積荷の量を増やし、エネルギー利用効率を向上させる取り組みです。トラックやタンクローリーを大型化する事例が多いです。日本においては2019年に「ダブル連結トラック」の本格導入が開始し、1台で2台分の輸送が可能となり、約4割の二酸化炭素排出量が見込まれています。
貨客混載

貨客混載は、貨物と旅客の輸送・運行を一緒に行う形態のことで、鉄道や路線バス、タクシーなどで行われています。例えば、佐川急便が北越急行と共に取組む旅客鉄道を利用した貨客混載輸送があります。例えば、新潟県内の上越営業所から六日町営業所までの小口宅配貨物のトラックによる拠点間輸送について、旅客鉄道を利用した貨客混載輸送に転換し、運行1回あたり14.0kg(88%)の二酸化炭素排出削減を可能としました。
まとめ
物流業界もSDGsのゴール達成のために様々な取り組みを行っています。SDGsは、世界中のすべての人が協力して参加していかなければならない大きな課題です。SDGsの目的は、「貧困を終わらせ、地球環境を守り、すべての人々が平和と豊かさを享受できる世界を実現すること」です。今後もゴール達成のため、真摯に課題に向きあうことが重要となってきます。
【参考文献】
環境情報メディア 環境展望台
https://tenbou.nies.go.jp/
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